新海誠監督の劇場版アニメーション作品。映画「すずめの戸締まり」の完成報告会が2022年10月23日(日)よる9時から、Twitterスペースにて開催。出演は新海誠監督。弭間(はずま)友子宣伝プロデューサー(東宝)。Twitterにて、新海誠監督への質問を募集(#すすめ制作の戸締まり)し、回答した。

2022年10月22日(土)午前2時3分、新海誠監督は公式Twitter(新海誠 @shinkaimakoto)にて「『すずめの戸締まり』、完成いたしました!」とツイート。ファンに映画の完成を報告。今回のTwitterスペースの配信は「完成報告会」となる。

10月24日(月)にスタッフ・関係者向けの初号試写、10月25日(火)に完成披露試写会が開催され、11月11日(金)から全国ロードショーされる。

 

※ 記事中の文言は、要約・補筆したものであり、発言を正確に抜粋したものではありません。

 

Q&A

Q.Twitterで映画の完成を報告されていましたが、完成した気分はどうですか?
A.新海誠監督「完成したのは一昨日(10/21)なのですが。スタッフクレジットの誤字脱字とか、まだちょっとだけ直していたりして、実は今日(2022年10月23日(日))の夕方ぐらいに本当に最後のデータを入れました。さっきまでやっていたので、完成してどんな気持ちかというのは、いまいちよく分からない状態です」
新海誠監督「一応、一昨日、Twitterで完成しましたと言って、娘に、『映画終わったんだよ』と、『お父さんは明日から無職なんだ』と言ったら、『ヤバッ』と言われました」
弭間宣伝プロデューサー「公開まで色んなプロモーションがあるので」
新海誠監督「プロモーションはお金が発生しないじゃないですか。タダ働きですから無職のようなものかなと」
新海誠監督「さっき松村北斗くんとラインのやりとりをしていて、いよいよ明日(10/24:スタッフ向けの初号試写)ですよね。楽しみと裏腹に、緊張と怖さがありますよねって話をしていて、僕も怖いなと思いながら明日に臨むんですけども、『ここまで来たので楽しみましょ』という話をしました」

 

 

Q.10月22日(土)は何をして過ごされましたか?
A.新海誠監督「先ほど本当の完成だったので、昨日(10/22)はデーターのチェックなどをしていました。スタジオに行って作業するほどの分量はなかったので家で、自宅で猫と一緒に仕事をしていて。猫の名前は”スズメ”と”ツバメ”って言うんですけど。お前の名前をつけた映画が完成したよと話しながら、やっていました」
新海誠監督「スタッフがスラック(slack)にあげてくれてるものにチェックバックをするのを繰り返していて。昨日の夜、細かな作業が終わって、スタジオにいたスタッフは僕のスラックのメッセージを見て、歓声をあげていたという動画を後でみせて貰って。なんかこう、テキストメッセージを見て歓声を上げているひとたちの動画みたいなものをみせてもらって。すごく、こう、手応えが無いなと思いました。同じ場所にいないから監督から『オッケーです』スラックをもらって現場は終わりみたいな。なんかちょっと味気なくもありますが、それなりに達成感もあって、本当の休日は数日後ぐらいから。どういう気分かは、後からついてくるのかという風に思います」

 

Q.映画が完成した今一番やりたいことは何ですか?
A.新海誠監督「本当にパッと思い浮かばないんですけどあの、完成すると思っていなかったのでその先の人生のイメージがなかったんですけど」
新海誠監督「今回スタッフ含め本当にタイトな制作でして余裕が全くない。僕は最後の2-3ヶ月は荻窪のスタジオに通う時間ももったいなくて、基本的には自宅で作業するか、音響の作業としては東宝のスタジオ(ビングステージ)に行くかで、荻窪のスタジオに行っていなかったんですけど」
新海誠監督「オンラインで一人で作業していると、飼い猫の『スズメ』と『ツバメ』が遊んで、遊んでと背中でずっと鳴くわけです。特に『スズメ』は遊んであげるまで、声の音量を上げていくわけです。「にゃー(微)」といっていのが「にゃあー(大)」と怒っていくわけです。ずっと終わったらねと言い続けていたので、猫と存分に遊んであげようかなと思います」

 

Q.今回の「すずめの戸締まり」の手応えを教えてください
A.新海誠監督「良い映画になったと思う。毎回思うんですけど。良いと信じるものを企画として出して、絶対良い映画だと信じながら2年かけて作るわけですが、過去に苦い経験もあって、毎回強い気持ちで作るんですけど、出してから、お客さんに楽しんで貰えなかった、楽しんで貰えるお客さんはいるんだけど、どうも楽しんでくれない人の方が多いと感じてしまうような映画も過去に何回もあったりして、どれだけ自分の手応えがあっても、どれだけ自信というか、良くなったんじゃないかと思えても観客の前に差し出すまでは分からないという風に凄く毎回思います」
新海誠監督「明後日(2022年10月25日(火))に完成披露試写があるので、そこで初めて何かを感じることができるので完成披露試写の後、家に帰ってたくさんエゴサーチをして、そこで喜んだり反省したりをしていくんだと思います。ですからまだ分からないです」

 

Q.こだわり抜いたポイント 新たにチャレンジしたことはありますか?
A.新海誠監督「たくさんあります。鈴芽(すずめ)という女の子が住んでいる場所が九州で、だんだん旅をして移動していくという話なので、今までの作品に比べ、一本の作品の中に登場する舞台の数が多い。移動していくと言葉が違う。方言も違うじゃないですか。ですからアフレコをやるときも、例えば九州だたったらその地域の声優さんを探したりとか。方言の難しさみたいなももありますし」
新海誠監督「アニメーションで絵を描くに当たって、美術設定もたくさん作らなければいけなかった。「天気の子」の場合だと東京の設定だけあればだいたいできるし。設定がないときは近所にロケハンに行けばいいみたいな。今回はそうもいかなかった」
新海誠監督「今回、3DCGの要素が凄く多いんです。予告編で 動く椅子が出てきますが、椅子は3DCGで表現しているカットが多いです。一見して手で書いているように見えるが、動きや質感の表現モーションは、そこで知り合った新たなスタッフとの面白い仕事ではあったが、その動きや質感の表現は初めてやるむずかしさがあった。とにかく大変でした」
新海誠監督「映像制作のスタッフはいい年をした大人なんですが、今までの作品で一番スタッフの涙を目撃した映画だった。悔しかったり、自分の思うような芝居が描けないとか。締め切りあって、泣いていたり苦しんでいたり凄く辛そうにしている姿を見て。(監督の)僕なんかはたかが仕事なんだから、自分の存在が問われることではないじゃないですか、お仕事というのは給料分働けば良いので。泣くほど辛いんだったら、ここまでで良いよと思うんですけど」
新海誠監督「監督は僕ですから、良いと思えるものを出さないと僕自身のダメージになるんですけど。たくさん居るスタッフは映画の一部分が少しイメージと違っても観客は気づかなかったりすると思うんです。でも、本当に細かいことにプライドをかけて、大人が涙を流すぐらいの思いでやっているというのを、何人も目の当たりにして。すごくおもい気持ちが籠もっている、おもい映画ですね」
新海誠監督「エンタメですので、観る方は楽しく観て頂いて、凄く楽しいシーンを泣きながら描いている人もいるんですよね。おひとりおひとりの職人としてのプライドがギュッと込められているカットがたくさんあると思いますので。そこは、見応えがあると思います」

 

Q.制作過程で印象に残っているエピソードはありますか?
A.新海誠監督「『一生原画を描いていたいです』とメッセージを送ってくれたスタッフがいて。そんな苦しいことをずっと描き続けたいと思っていてくれることに嬉さがあります」
新海誠監督「アクションシーンに関しては、今回、今までの僕の映画に無かったような戦闘シーンと呼べるようなシーンが結構あるんですが、音も、劇場でしか聞けないような本当に激しい音もあったりします」
新海誠監督「アクションシーンを描くにあたって、それでも、日常の動作の、鈴芽(すずめ)って高校生ですから。高校生のやれるアクションの範囲に留めようと思ったんです。10代の肉体なりのアクションを凄く激しく描こうと思っていて。そういうコンセプトを理解してくれた敏腕のアニメーターたちが、体重を感じる、重さとか重力とか、コンクリートの固さであったり、草の地面柔らかさを感じるアニメーションをたくさん描いてくれたと思いますので、そこは見応えがあると思います」

 

Q.今回、RADWIMPSに加えて新たに陣内一真(じんのうちかずま)さん参加されていますが。どのような経緯で参加されることになったのでしょうか?
A.新海誠監督「最初、洋次郎さんとお話をしていたときに、今回は、僕とRADWIMPSだけじゃなくて、誰かまた別の方の音楽の力が欲しいですよねという話をしていて。洋次郎さんから何人か彼の知り合いの方のご提案を頂いていたが、制作も後半になってから音楽プロデューサーが紹介してくれたのが、陣内一真(じんのうちかずま)さんでした」
新海誠監督「陣内さんは、アメリカ・シアトル在住の方なので、仕事が始まってからもZOOMでやりとりしていて、直接お会いできたのはわりと最近なんですけども。シアトルの音というか、僕たちが日本のスタジオで作っている音とは明らかに違う音を映画の中にインストールしてくれた。僕にとっても洋二郎さんにとっても大きな刺激でした」
新海誠監督「最終的にはロンドンとプラハでレコーディングをしてきたのですが、僕は行きたかったんですけど、家で毎日猫と話しながら仕事をしていたのですが、RADWIMPS、洋二郎さんから『エキサイティングな日々です』という連絡を貰ったりして。あがったレコーディングの曲を聴くと本当にその通りで。ちょっとグローバルな映画を作っている気分にさせてもらいました」

 

Q.世の中に存在しない新しいものを作る中で、原菜乃華さんは「鈴芽(すずめ)の真っ直ぐさに助けられた」と仰っていましたが、新海誠監督はどうやってそれを乗り切っていましたか?
A.新海誠監督「色々怖さはあるんですが。どこにもないような映画を作りたいという気持ちは常にあって。他に何も似ていないものを作りたいという気持ちは最近特に強いんです。若いときはあーいう作品を作りたいというモデルケースがありました。自分が好きな宮崎監督の作品への憧れで、模倣するところからはじめて行ったみたいなこともあったのですが。模倣からはじめてみたことが、自分の中の本当にやりたかったことが、それによって発見されて、いつの間にか新開さんぽいよねっていう表現になっていきました」
新海誠監督「他の何も似ていないなって思えるような映画にしたいと今回は特に思っていて。今日もチェックして通してみて、少なくとも自分たちの映画になっていると思ったんですけども。それを観客の方が求めているかは別の問題なので」
新海誠監督「ワンピース」(劇場版『ONE PIECE FILM RED』)の興業収入が170億円になったが。娘が子役をやっていて、ワンピースの映画(劇場版『ONE PIECE FILM RED』ロミィ役:新津ちせ(12))、名塚佳織(なつかかおり)(劇場版『ONE PIECE FILM RED』ウタ役)さんと2人で舞台挨拶をやっているのを観て。敵映画じゃん。どっちの見方なんだよって思いながらも。何を観客の方が求めているかなんて出してみないと分からないから、やっぱりこう、凄く怖さがあるんですよね」
新海誠監督「あと、ムビチケ売ったけど公開日に間に合うかどうかもあったりして。でも、年をとってくると、鈍感さかみたいなものも出来上がってきて。僕が売ったんじゃないし、間に合わなくても僕のせいじゃないよみたいに。そこの本当の怖さみたいなものと向き合わずにできる技術も身については来るんですけども。それも自分の映画作りのノウハウの一つになっているかもしれないですね」
新海誠監督「どこまでも、みんなの望むもの全てを受け止めて、クリアするものを作ろうとするとそれは結構不可能だったりするから。本当にできることと、やれることと、それとお客さんが今みたいと思っているものの本当に交わる場所をなるべく最大化して探すって言うことを考えています。それができたかどうかが分かるのは公開後なので。『エゴサで』と考えています」

 

Q.完成した作品は始めに考えたものですか?
A.新海誠監督「毎回、1人でビデオコンテを作るのですが。ビデオコンテは、絵コンテを描いて、声を自分で吹き込み、走る音などの効果音も自分でをつけ、2時間の映画分の映像を作ります。それが映画の最初の理想の形なんです。これより遙かにゴージャスなものになるに違いないと思うわけです」
新海誠監督「ビデオコンテを1カット1カット上書きするようにして、たくさんの何百人ものスタッフで、より良い映像にしていくんですけども。最終的には、ビデオコンテを遙かに高いレベルで上書きしたリッチなゴージャスな映像、音楽になるんですけども。自分の中の最初の頭の中にしか無かった、ビデオコンテの延長線上に完全に一致するかというと、そんなことはなく。やっぱり想像上のものの方が、なんとなく凄いものだったというカットも結構あったりもして。その意味では、ビデオコンテが自分の中の最初の映画制作のピークの一つで。そこから先は、絶え間ない諦めの連続だったりもするんです」
新海誠監督「ちょっとこう誤解を招く言い方かもしれませんが、1カット1カット諦めながらOKを出していくんですね。諦めというのは一つの硬直した可能性ではない別の可能性なので、別のまた違う方向での良さを別の人間に示してもらったものなので、すごく分厚いものになるんです。ビデオコンテというのはすごくパーソナルなひとりのものなんですけど、出来上がったものっていうのは何百人もの力の結晶になるので。自分にとっては、そこに辿り着くためには本当に無数の諦めがあるんですけど。でも、出来上がったものが正解なんだっていう風に同時に素直に思えます」

 

Q.閉じ師(とじし)宗像草太(むなかたそうた)のモデルは野田洋次郎(RADWIMPS)さんですか?
A.新海誠監督「洋次郎さんだけがモデルといわけではないが、洋二郎さんのイメージもあります」
新海誠監督「一番最初に思っていたのは、閉じ師(とじし)とは、ちょっと陰陽師的な、人には無い力で。表の世界が政治なんだとしたら、裏側で世の中をキープするために大事なことをやっている人。というニュアンスで考えていたので、若い宗教家みたいな人が良いかなという風に思って。それでこう、なんとなく長髪になっていきました」
新海誠監督「そういうイメージと、世の中で起きたことを自分の出来事と同等に悲しんでしまう人っていうイメージもあって、それが僕は洋二郎さんに重なっていたんですよね。彼がやっている歌作りなんかをみると、社会が悲しんでいるときに彼も悲しんでいるような気がして。映画を観て頂けると、『これ洋二郎の帽子じゃねぇ』みたいなカットもあるかも知れませんので。探して頂ければと思います」
新海誠監督「今となっては、僕は、松村北斗くんとの重なりが大きいですし。観た人がどんな風に感じてくれるかは楽しみです」

 

Q.一番最初に公開された予告と今の予告と、松村北斗くんの声が全然違うように聞こえました。初声優の北斗くんの成長ぶりは新海誠監督からみてどうだっかお聞きしたいです。
A.新海誠監督「アフレコの期間が1ヶ月ぐらいあったりするので、最初と最後だと別人のようになるんですよね。それはその役者としてのポテンシャルもあるし、役に対しての想いの深さがあると思うんですけど。それでいうと、北斗くんはそのジャンプの幅が大きかったかも知れませんね。それが予告編での声の変遷からも観客に伝わっていたんですね」
新海誠監督「それは嬉しいし、恥ずかしさもあるし、僕たちの試行錯誤が、そのまま観客に共有していたと思うと。北斗くんの声はとても良いですよ、鮮烈だとという風にコメントで書いたんですけど。それ以上の言葉が思い浮かばないぐらい、鮮やかに激しいと思います」
新海誠監督「宗像草太(むなかたそうた)は、穏やかな話し方をする時もあるんですけども。祈りを捧げるような仕事なんですよね。祈りを激しい戦闘シーンの叫びの中で祈りの気持ちを込めて声に出すというキャラクターなので。もし北斗くんが好きなんだとしたら。草太(そうた)の芝居を聞いて気を失うぐらい素敵って思うと思います。僕も『キャー北斗』みたいな気分になってしまった。楽しみにしてください」

 

Q.制作中の差入れで印象に残ったものはありますか?
A.新海誠監督「(出演されていないが)小栗旬さんが、アフレコの陣中見舞いに来てくれて、超高級和菓子をいれてくれたこと」
新海誠監督「深津絵里さんが、お芝居に熱心でビックリすることがたくさんあったんです。(新海誠監督の作品では)一つのセリフに対して10テイク、20テイクと普通に撮るんですよ。「ねぇ、きみ」というセリフに対しても、いろんなニュアンスを確かめるために10回20回と普通に言うんですよね。大体の役者は、最終的にどのテイクが良かったかは僕たちが選ぶんですが、深津さんは自分の喋ったテイクを全部覚えていて。『監督は今このテイクを選びましたけど、その2つ前のテイクは少しだけ声のトーンが高くて若い感じがあったから、よりシーンにマッチするんじゃないですか』みたいなことを言ってくるんです。ちょっと、こう、凄くて。深津さんと仕事をしたい人がいっぱいいるというのが良く分かるというか。勉強になりました」
新海誠監督「『言の葉の庭』で主役を演じた入野自由(いりのみゆ)さんが、深津さんと一緒に出ている舞台があって。入野さんとお酒を飲んだりすると、深津さんがとにかく俺は好きなんだと、深津さんがどんなに素敵な人かっていうのを入野さんが僕にいっつも訴えていて『新海さん。新作を作ったら、深津さんと一緒に俺を呼んで下さい』と言っているぐらい。僕はそれで深津さんが印象的だったんですよね。
新海誠監督「今回環(たまき)役に深津さんにお声がけさせていただいて。入野さんには連絡をしていないから『しまった』と今話しながら思ったんです。映画の中で必要なキャラクターによるんですけど」
新海誠監督「入野さんがあれだけ言うんだから深津さんはどんな人だろうと思ったら、それぐらいやっぱりちょっと特別な人で。そんな深津さんはスタジオに入られるときはいつも美味しいお菓子を差し入れてくださって。ですから、深津さんの差し入れと、小栗旬さんの差し入れがとても印象に残っております。さすがあの役者大御所2人は違うなと思いました」

 

Q.ご飯を作って食べるシーンはありますか?
A.新海誠監督「食事シーンはあります。ジブリのご飯はとても美味しそうじゃないですか。シータ(「天空の城ラピュタ」)が目玉焼きを作ったりとか。自分の映画で同じことができるとは思わないけども。でも物を食べるって特別な行為で。しかも誰かと一緒にごはん食べることは特別なことなので。この人と物を食べることでその人との距離が変わるみたいな瞬間があるので」
新海誠監督「天気の子でも森嶋帆高(ほだか)と天野陽菜(ひな)がご飯を食べるシーンをキーにしたんですけども。鈴芽(すずめ)と草太(そうた)に関しては、椅子には口がないからご飯を食べられないでしょ。鈴芽(すずめ)は草太(そうた)以外の人とご飯を食べるんですけど。そこで色んな食事シーンがありますので楽しみにしていてください」

弭間宣伝プロデューサー「特番でミシュランレストラン『sio』の鳥羽周作シェフが、『すずめの戸締まり』に出てくるものを作ったものがあります。シェフは映画を見ていないんですけど、それを表現しました」

 

Q.日本テレビ金曜ロードショーで「君の名は。」の放映後に「すずめの戸締まり」冒頭12分を公開するという発表がありましたが、新海誠監督は冒頭12分を先に観るのと、公開後にまとめて観るのはどちらが良いと思いますか?
A.新海誠監督「色んなテレビ局でいろんな作品をかけてくださるのですが、今回は『君の名は。』は日テレで(2022年10月28日(金)よる9時)、『天気の子』はテレ朝で(2022年11月6日(日)よる9時)やります。「君の名は。」の放映後に、「すずめの戸締まり」冒頭12分が流れるのですが、それを観た方が良いかどうかですが、このツイッタースペースを聞いているような、あなたたちは映画に来るわけなので、見なくていいと思います」
新海誠監督「どちらかというと、映画を黙っていたら見に来てくれないかも知れない人たちに、『すずめの戸締まり』という映画があるんだよ。それがこんなに面白いんだよ。ということを冒頭の12分で知ってもらう為の戦略ですので。もちろん観て下さったら、その先が気になるでしょうし。早く観たいという気持ちになってくれると思うんですけど。本当に楽しみなんだったら、『君の名は。』を観た後はチャンネルを変えて、違う局やYoutubeを観た方が新鮮な驚きの為には良いと思います」

 

 

Q.上映時間は何分ですか?
A.新海誠監督「今までの映画の中で一番長くありますが、2時間映画です。上映前はお手洗いに行ってからみると良いと思います」

弭間宣伝プロデューサー「明日(10/24)正午に映倫審査があったりするので。そこで多分正式に出て行く形になるんじゃないかと思います」

 

Q.地震描写はどの程度ですか?
A.新海誠監督「昨日(10/22)に公式サイト等で、地震速報や地震警報のアラーム音が映画の中に使われますというのを発表させていただいたのですが。映画の中で使われるアラーム音というのは、僕たちが現実で耳にした音とは少しは変えています」
新海誠監督「変えた理由は、あの音は、強い感情を喚起する音なので。あの音に凄くおびえながら過ごしたような時期の記憶もありますし、今でも怖いですよね」
新海誠監督「同時に、スマホから聞こえてくる地震の警告音は、SuicaやPayPay決済音やiPhoneの着信音のような耳なじみのある日常の音でもある。皆が知っている聞きなじみのある音でもある。そうすると、地震描写を描くときにどうしても、入れないと大きな嘘をついているみたいになってしまうと思ったんですね」
新海誠監督「実際の音とは変えてアレンジした音を使っていますが、誰かを怖がらせたり、嫌な想いをさせるものではないので、先に言っておくべきだと思い先に発表させてもらいました」

 

 

Q.『天気の子』や『君の名は。』の時に開催されたような新海誠監督の講演会はありますか?
A.新海誠監督「『すすめ制作の戸締まり』は色んな変遷があったので、一番最初女性と女性の旅の物語にしようと思っていたりとか、パートナーが椅子じゃなかったりということもあったりしたので、そういう変遷も含めて、どういう判断で、映画的勝算のもとにこういう形にしていったというお話をできる機会があったら、遠からずやりたいと思います」

 

Q.『ほしのこえ』から変わらず大事にしている方針はありますか?
A.新海誠監督「自分の映画を誰に向けて作っているかをイメージしたときに、中高大学生。学校から帰ってきて、暗い窓の外を見て、なんとなく想いをはせている人に、自分の映画を観て欲しい。自分の知らない世界があるんじゃないか。暗い山の向こうに自分が感動できる世界があるんじゃないか。自分の人生がまだ始まっていないと思う人にまず届けたいと思います」
新海誠監督「思春期の気持ちは年齢を重ねると無くなっていて。孫からおじいちゃんまで見れる映画にしたいと思ったんですよ。おじいちゃんが孫を映画に連れて行って、どっちも置いてきぼりにしない映画にしたいと思ったんですね」
新海誠監督「カップルは良いんですよ勝手に盛り上がるから。本当に置いてきぼりにしてはいけないのは、子供とご年配の方。若い時はあらゆる事から意味を見いだすことができるし。色んなものが新鮮なんですけども。孫を楽しませようと映画に連れて行ったおじいちゃんおばあちゃんが、孫が退屈しているというのは、結構、その一家にとっては悲しい経験だったりすると思うんですよね」
新海誠監督「そういう思いをさせないような映画にしたいという風に思いました。ご家族安心して観に行って頂ければ、とても楽しいと思います。小学校に上がる前の子から仕事をリタイアした方にとっても、色々なことを考える映画になると思います」

 

新海誠監督「映画作成中は監獄に収監されているような気分でした。草太が椅子に閉じ込められるという感覚は、僕たちが(コロナの影響などで)不当に狭い場所に閉じ込められているって言う感覚を何か別の形でエンタメとして表現したいという風に思った気持ちがありました」

 

Q.宣伝動画にたて動画がありますが。たて動画の工夫はありますか?
A.新海誠監督「たては作ってないですね」
弭間宣伝プロデューサー「公式サイトを見て下さってる方もPCよりもスマホで観て下さる方の方が圧倒的に人数が多かったり。なので縦型でそのまま観れるって形の方が良かったり。駅のサイネージ広告とかもあるので」
新海誠監督「今回映画はシネスコサイズでお願いしたんですけど。たてで切り取られると何も見えん(笑)」
弭間宣伝プロデューサー「予告編とはYouTubeでちゃんと観て頂けるようにアップしたりとか。Twitterに貼り付けだったりとか。あとインスタだと四角くスクエアの方が良いとか。ちょっとサイズを合わせちゃうと凄いちっちゃくなるじゃないですか。それはそれでもったいないなと言うところがあるので、きちんとフルでスネスコサイズで観て頂けるものもYouTubeにアップしつつ手軽にスマホでみれるようなものとかも作られて頂いている感じです」

新海誠監督「僕と弭間(はずま)さんが仕事を始めたのが、『言の葉の庭』で。あの頃は、スマホはもちろんあったんだけど、まだ呼び名がスマフォなのか。スマホなのか決まってなかった。『君の名は。』の小説の最初の版だとスマフォと書いてるんです。だってフォンなんですよ。そこから、増刷した後に世の中スマホとなったので、スマホ表記に変えたんですけども。あの頃はインスタもなかったし。なので、縦長の画面でのプロモーションも考えてなかったんですけど」
新海誠監督「さっきスタジオに来て、宣伝マンも新しいスタッフが入って。コマツという、Kマツという男がいらっしゃって、その方は、日々TikTokeは観ていると言ってました。僕はTikTokeは観ないので宣伝マンも世代が変わってきて、宣伝の手法も変わってきていますね」

 

新海誠監督「制作中が辛くて、角川の小説が辛かった。書けないですよ、普通。映画作りながら小説。細田さんが書いてるからって言われるから頑張るわけじゃないですか。その後辛かったのは予告編ですよ。本編を作りながら予告編を考える。あと、キービジュアル第2弾とかね。夏ぐらいから本当に余裕がない日々だったんですけども」

 

Q.パンフレットやグッズはありますか?
A.弭間宣伝プロデューサー「あります。特に椅子とか猫ちゃんはちゃんと可愛いのを用意していますので、公式Twitterのお知らせをチェックしていてください」

 

 

 

公式サイトなど

https://suzume-tojimari-movie.jp/
https://twitter.com/suzume_tojimari

 

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