三栄書房から、ムック本「日本の名作マンガアーカイブシリーズ 80’s 最強マンガ大解剖」が 発売された。形態は、雑誌と書籍の性格を併せ持った大判のムック本。この1冊で80年代のマンガ界の状況が分かるようになっている! 80年代を過ごした世代だけでなく、これからの時代を担う若者にもオススメのムック本だ!!

ムック本「80’s 最強マンガ大解剖」では、80年代を俯瞰的に分析する記事の他、各作品のストーリーやキャラクターの解説、各作品の制作秘話、80年代を知るマンガ家や編集者へのインタビューなどが紹介される。80年代のマンガを読んで育った世代の人にとっても、「へ~、知らなかった、そうだったんだ!!」というような情報もあり、当時を懐かしむこともできるし、そうではない世代の人にとっても、往年の名作が生きた時代を感じることができる。

また、個別の作品にスポットをあてたムック本も発売されている。80年代を取り上げたムック本としては、「北斗の拳 大解剖」、「コブラ 大解剖」、「キン肉マン 大解剖」が刊行されており、ストーリーやキャラクターなどの紹介、マンガ家や著名人へのインタビューや対談記事、制作秘話、生原稿、カラーイラストなどを用い、ムック本1冊を丸ごと1つの作品に用い徹底的に細かく分析されている。

 

ムック本「80’s 最強マンガ大解剖」で取り上げられている主な作品

ムック本「80’s 最強マンガ大解剖」では主に、高橋留美子「うる星やつら」、ゆでたまご「キン肉マン」、新沢基栄「ハイスクール! 奇面組」、高橋陽一「キャプテン翼」、あだち充「タッチ」、蛭田達也「コータローまかりとおる!」、北条司「キャッツ・アイ」、北条司「シティハンター」、原哲夫・武論尊「北斗の拳」、荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」、寺沢武一「コブラ」、聖悠紀「超人ロック」、桂正和「ウィングマン」、三浦みつる「The・かぼちゃワイン」、前川たけし「ブレイクショット」など、80年代のマンガ界を彩った名作が紹介されている。

また、80年代の少年マンガ作品カタログとして、80年代を彩ったオススメのマンガ作品と、そのあらすじがジャンル別に掲載され、網羅的に概説する。気になる作品を見つけた場合、すぐに内容を確認することができるよう、どこのマンガ配信サイトで販売されているのかも一目で分かるようになっており、かゆい所に手が届く作りになっている。

80年代は、出版社もマンガ家もしのぎを削り群雄割拠した時代だ!

本書では、序章として、80年代の時代背景を紹介しつつ、80年代のマンガ雑誌同士の戦いについて概説する。出版社の視点で、いかにしてマンガの発行部数が増え、いかにマンガが面白くなっていったのか、その歴史を紐解いていく。

次に80年代を、”ギャグ&コメディ”、”スポーツ&格闘術”、”バトル&アクション”、”SF&ファンタジー”、”ラブコメ&バラエティ”の5つのジャンルに分け、ジャンル別の特徴を分析する。

80年代のマンガは、手塚治虫、赤塚不二夫に代表されるような、80年代以前に人気を博したマンガから、より現代的なマンガへとマンガが大きく変化した時代だ。それゆえ、それぞれのジャンルを標榜する代表作品が、どのような変化をし、いかにして人気作品たらしめたのか、80年代の時代性とともに、その理由を知ることができる。

時代の流行を先取りし、時代に合わせて作られたマンガは文化である。マンガが切っ掛けとなって子供たちを中心に流行った言葉やポーズなども多い。そしてその強い記憶は色あせることなく、80年代にマンガを読んでいた世代が大人になった今でも鮮明に残っている。マンガには、それだけ強いインパクトがあった。それは、80年代のマンガ作品の続編やリメイク作品がヒットする要因の一つにもなっている。

80年代を経験した編集者やマンガ家(連載作家)

本書では、80年代を知る編集者へのインタビューや、マンガ家(連載作家)の描き下ろしマンガが掲載されている。主なインタビュー記事は、亀井修(元サンデー編集長)、五十嵐隆夫(元週刊少年マガジン編集長)、阿久津邦男(元週刊少年チャンピオン編集長)へのものだ。インタビュー形式で各編集長から見た80年代のマンガ業界の秘話が明かされる。

他方、マンガ家(連載作家)サイドからは、遠山光(週刊少年マガジン連載作家)、あおきてつお(少年ビッグコミック&週刊少年サンデー連載作家)、巻来功士(週刊少年ジャンプ連載作家)が登場。描き下ろしマンガで業界秘話を明かす。

編集者から見た80年代のマンガ業界やマンガ家と編集者との関係など、80年代のマンガの作り手たちがどういう環境で創作活動をしていたのかを垣間見ることができる。

80年代はマンガが大きく変化した時代であり、マンガが強い力を持っていた時代だ。その力は、未だに、80年代を過ごした世代を魅了するばかりではなく、80年代を知らない若者に対しても強い影響を与えている。80年代の漫画は強い影響力を持ち続けているのである。本書のようなムック本で80年代を整理し理解することは、単に80年代を懐かしむというだけでなく、これから未来のマンガを知るうえで重要な情報となるのではないだろうか。

公式サイトなど

ムック本『日本の名作マンガアーカイブシリーズ 80’s 最強マンガ大解剖』(三栄書房)公式サイト
http://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=9624

関連記事