さすおに！映画「魔法科高校の劣等生星を呼ぶ少女」小説「美少女魔法戦士プラズマリーナ」レビュー

小説「魔法科高校の劣等生」（電撃文庫）シリーズ（作家：佐島勤、イラストレーター：石田可奈）は累計770万部超の人気小説だ。2017年６月17日に初の劇場作品「魔法科高校の劣等生星を呼ぶ少女」が公開され、興行収入は４億円（2017年７月４日現在）を超えるヒットを記録している。

映画「魔法科高校の劣等生星を呼ぶ少女」の来場者特典第１弾として配布されたのが、佐島勤の書下ろし小説「魔法科高校の劣等生美少女魔法戦士プラズマリーナ」だ。本作は、来場者特典の非売品ということもあり、現在コレクター価格で販売されるなど注目を集めている。

小説「魔法科高校の劣等生美少女魔法戦士プラズマリーナ」では、映画「魔法科高校の劣等生星を呼ぶ少女」や小説/コミック「魔法科高校の劣等生来訪者編」で登場するアンジェリーナ＝クドウ＝シールズ（CV：日笠洋子）が、美少女魔法戦士プラズマリーナになるまでの物語が描かれる。

「魔法科高校の劣等生美少女魔法戦士プラズマリーナ」のあらすじ

物語の舞台は、北アメリカ大陸合衆国アリゾナ州フェニックスの郊外にあるUSNA軍参謀本部直属魔法師部隊の育成施設。アンジェリーナ＝クドウ＝シールズ（12）は、USNA軍『スターライト』（USNA軍『スターズ』候補生部隊）の隊員だ。階級は准尉。

ある日、アンジェリーナは、直属の上官であるユーマ・ポラリス少尉に呼び出された。アンジェリーナが作戦司令室に赴くと、そこには、ポラリス少尉に加え、USNA軍『スターズ』第一隊隊長カノープス少佐が同席していた。

カノープス少佐の同席が意味すること、それは、アンジェリーナのUSNA軍『スターズ』への配属の可否の決定だ。ポラリス少尉からアンジェリーナに告げられた任務は、警察の手に負えないような犯罪魔法師の捜索と拘束。それは、まさに、アンジェリーナの将来を決める試験だった。

アンジェリーナたちが置かれている魔法師同士が戦争をする世界

約2年前より、USNAと新ソ連との間で、「アークティック・ヒドゥン・ウォー」（The arctic hidden War：北極の隠された戦争）が行われていた。この戦争によって、USNAと新ソ連、両陣営とも大きく疲弊。USNA軍からも多数の戦闘魔法師が失われ、『スターズ』にも多くの欠員ができているような状態だった。

この世界では、魔法師は軍事的な兵器であり戦力そのものだ。それゆえ、アンジェリーナのような強力な魔法師を『スターズ』に組み込むことは、軍事的な戦略から見れば非常に効果的な選択だろう。

しかし、それは魔法師を単なる軍事兵器として考えた場合のことであり、机上の理論だ。むしろ強力な魔法師の才能があるからといって、未だ心身ともに育っていない12歳の女の子を戦場に出すことを検討しなければならない状況にあるというのは、USNA軍が軍事的に相当苦しい状態に追い込まれていたとも考えられる。

とはいえ、USNA軍は、アンジェリーナを直ぐに実戦投入するのではなく、過酷な任務をこなせるかどうかをテストをする余裕もある。その微妙な位置が、優秀な魔法師不足に苦しむUSNA軍の実情なのだろう。