アレックス・ガーランドの初監督作品で、アレックス・ガーランド自身が脚本も手掛けた。2016年6月11日(土)に日本で公開された作品。人間と同じような顔をし、自我を持ち、人間と会話できるほどに進化した人工知能(AI)と、人間との交流を描いたSF作品。

 

映画『エクス・マキナ』は、2015年イギリス インディペンダント フィルム賞 ベスト イギリス インディペンダント フィルム賞、第88回アカデミー賞視覚効果賞を受賞するなど、映像表現に高い評価が与えられている作品だ。

 

ケイレブ・スミス役のドーナル・グリーソンは、映画『ハリー・ポッターと死の秘宝』シリーズのビル・ウィーズリー役としても知られている。また、エヴァ役のアリシア・ヴィキャンデルは、本作、映画『エクス・マキナ』のエヴァ役で、2015年トロント映画批評家協会賞で助演女優賞を受賞するなど数々の賞を受賞、世界中から絶大な評価が与えられている。

映画『エクス・マキナ』(字幕版)のあらすじ

世界シェア94%を占める検索エンジンサイト、ブルーブック社の社員(プログラマー)、ケイレブ・スミス(ドーナル・グリーソン)(26)は、社内の抽選で1等賞に輝く。

1等の商品は、ブルーブック社社長、ネイサン(オスカー・アイザック)の別荘に1週間滞在できる権利だ。ネイサンは、13歳にしてブルーブックのプログラムを書いたという非常に優秀な天才プログラマーだ。

大自然に囲まれた豪邸でネイサンと会い、非常に恐縮するケイレブに対し、ネイサンは1通の秘密保持契約書にサインするよう求めた。通常の秘密保持契約書とは異なる態様であった為、ケレイブは戸惑うが、ネイサンに「君は一生後悔する」と後押しされ、秘密保持契約書にサインする。

そして、ケレイブは、ネイサンが開発したAI、エヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)のテストを行うことになる……。

AIを試すテスト、チューリングテストとは?

ケレイブが行うテストは、チューリングテストと呼ばれるテストだ。チューリングテストは、AIに人工知能が存在するか否かを図るテストで、人間がコンピュータと会話を交わし、相手が機械だと気づかなければ、AIに人工知能が存在しているということになる。ケレイブは、エヴァに対して、複数回のセッションを繰り返しテストすることになる。

人工知能(AI)というと、近年、将棋ソフトの発達し、29連勝をしたことで話題となった藤井聡太四段など、プロの棋士までもが、人工知能(AI)を積んだ将棋ソフトを使って練習をしているという話を耳にする。しかし、将棋ソフトでいうAIは、本作で登場するエヴァとは異なる。将棋ソフトは、自分が将棋を指しているという認識を持っていないからだ。AI自身が、自分自身の状態を認識し、行動していることが、人工知能が存在するという意味において重要なのである。

エヴァはケレイブの質問に対し、時には感情やジョークを交え、実に人間らしい受け答えをしていく。近年ではロボットが接客をする例もスタートしているが、エヴァのような人型の人工知能を有したAIが実際に存在すれば、店頭などでの接客をするだけでなく、介護や、カウンセリングなど、よりきめ細やかなサービスが必要な分野にもロボットが利用できるようになるのだろう。

人工知能(AI)が進化した世界で人間はどのような存在になるのか?

ケレイブは、エヴァへのセッション(1から7)において、まずは初対面で緊張を解すところからスタートし、自身の生い立ちなどを語り合うなど、ケレイブはエヴァと普通に人間と話すような会話を繰り返していく。

だが、少しずつ仲良くなり始めたかに見えた2回目のセッションの時、エヴァは、ネイサンの目の届かない瞬間を利用してケレイブに警告のような囁きをする。

エヴァの行動は、親切な警告に見える反面、えも言われぬ不気味な怖さがある。もし、AIが何らかの自我に基づき、人間の顔色を窺ったり、自身の感情を表現し始めれば、あらゆることで人間を見透かし凌駕していくだろうという怖さがあるからだ。

現代でも、人間は、AIを積んだ将棋ソフトに、もはや勝てないのではないかと言われる時代になってきている。このままAIの進化が進めば、遠くない未来、AIは人間を的確に分析し、人間の心の隙にスッと入ってくるような存在になるのだろう。その時、人間がどのような存在になっていくのだろうか。人間とAIの関係について考えさせられた作品だ。

公式サイトなど

映画『エクス・マキナ』公式サイト
http://exmachina-movie.jp/
The 88th Academy Awards | 2016 Visual Effects
http://www.oscars.org/oscars/ceremonies/2016
The British Independent Film Awards Best British Independent Film
https://www.bifa.film/awards/winners/2015
Toronto Film Critics Association Best Supporting Actress
http://torontofilmcritics.com/past-award-winners/

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