「泣ける」と話題の綾瀬はるか・長澤まさみ・夏帆・広瀬すず主演「海街diary」あらすじ&レビュー
第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、マンガ大賞2013受賞、吉田秋生の『海街diary』(小学館)を、映画「そして父になる」で第66回カンヌ映画祭審査員賞を受賞した是枝裕和監督が映画化。
家族を捨てて出ていった父が他界。父、母に捨てられた娘3人のもとへやってきた異母姉妹の妹。様々な思いを抱えながらも、そんな4姉妹がひとつの家族になっていく物語。
あらすじ
鎌倉で暮らす、香田幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、三女の千佳(夏帆)のもとに、15年会っていない父の訃報が届く。父の葬儀に出席する為山形を訪れた3人は、異母姉妹の妹、浅野すず(広瀬すず)に出会う。
15年前、父は不倫の末娘らを捨てて浅野陽子(中村優子)と再婚した。また母の佐々木都(大竹しのぶ)も再婚し、幸、佳乃、千佳らを置いて北海道に行ってしまった。
一方、すずは、母親(三姉妹から父を奪った女性)が他界し、父も他界した為、義理の母となる父の再々婚相手の女性に気を使いながら健気に生活していた。
そんなすずの様子を見た幸は、「すずちゃん鎌倉に来ない? 一緒に暮らさない? 4人で……」と誘う。すずは、「行きます!」と即答し、鎌倉で4姉妹の生活がスタートする。
レビュー
4人姉妹はどうすれば家族になれるのか。
それは平凡でありふれた当たり前な日常を重ねていくことだ。
鎌倉に来たすずは、幸、佳乃、千佳らの家事を手伝いながら、学校に通い、サッカーチームに入り、知人・友達を作るなどし、次第に地域にも溶け込んでいく。
また、その関係性が変化するにつれて、例えば、「すずちゃん」と「ちゃん」付けだったものが、「すず」と呼び捨てになるなど、呼称もどんどんと変化していく。
そして話し方自体も、最初は固い感じから始まり、だんだんとくだけた感じになっていく様子が繊細に描かれる。短い時間の中で、1つの家族、1つの姉妹になっていく様子を違和感なく体験することができる。
これらの出来事は普通の家族にとって普段ありふれた当たり前の日常だ。
こうした当たり前の日常の中で共通の体験を積み重ねて行く事が、ひとつの家族を形成するうえで重要な事なのである。
4人姉妹の体験を通じて、家族になていくまでの変化を濃縮して感じ取ることができる。
とはいえ、普通の家族のように完全に溶け込めるわけではない。心のしこりを解き解すには時間がかかる。
ずずは姉らと一つ屋根の下で姉妹としてやさしい生活を続けることで、徐々に一つに家族になって行くが、それでも、どこか心の中にあるひっかりが取れないでいる。
それは、すずの父と母との事だ。
すずは、仲のいい友達に対し、「お姉ちゃんたちには話し辛いんだよね。お父さんこと」と話すなど、姉らに本当の気持ちが話せないでいた。
また、すずは、「ごめんなさい、うちのお母さんのこと」、「奥さんがいる人を好きになるなんてお母さんよくないよね」と、母の事を詫びるなど、「私がいるだけで、傷ついている人がいる」、「時々苦しくなるんだよね」などと、母が姉らから父を奪ってしまった負い目をずっと抱えているのである。
それでも、4姉妹はひとつの家族になる為、着実にありふれた日々を積み重ねていく。
本作品は、4姉妹の日常を通じて、家族とは何なのか、家族には何が必要なのかを考えさせる作品だ。
公式サイトなど
映画『海街diary』公式サイト
http://umimachi.gaga.ne.jp/